芥川龍之介「羅生門」大正4年
芥川龍之介「羅生門」大正4年、を読みました。
※See Akutagawa Ryunosuke "Rashomon" Taisho 4 years (1915): 本に溺れたい
芥川龍之介 羅生門(青空文庫)
そこで、流通している解釈をネット上で探索すると、この小説の主題は、
1)人間のエゴイズムについて
2)生きるために、罪を犯すことは許されるか
3)人間における「悪」とはなにか(「悪」は相対的か)
とか、書いてありました。1)と2)は、「自分が生きるために、他者に悪をなすことは許されるか」ということでは、結局、同じことのようです。3)も、善悪は、人間を取り巻く状況と相対的なものである、とみなせば、同類と考えられます。
私は、実質的に初めて読みましたが、元気が出ましたし、励まされました。単純に、私自身が下人の惨めさに共感できたからですし、下人の「悪に生きる」という決断と行動が放つ「強さ」に魅かれたからです。下人の「再生」から、カタルシスを得ることができた、言うことなのでしょう。今の私には、これが一番自然な読み方のようです。
| 固定リンク
「文学(literature)」カテゴリの記事
- 関 曠野「知は遅れて到来する ―ドラマにおける時間について―」(1985年5月)/Seki Hirono, Knowledge Comes Late, On Time in Drama, 1985(2024.07.20)
- 徂徠における規範と自我 対談 尾藤正英×日野龍夫(1974年11月8日)/Norms and Ego in the Thought of Ogyu Sorai [荻生徂徠](2023.08.30)
- What is 'lucid writing'?/ Yukio Mishima (1959)(2023.08.06)
- 「明晰な文章」とはなにか/三島由紀夫(1959年)(2023.08.06)
- 暑き日を海にいれたり最上川(芭蕉、1689年)(2023.08.02)
「日本 (Japan)」カテゴリの記事
- 有田焼のマグカップ/ Arita porcelain mug(2024.04.25)
- 佐藤竹善「ウタヂカラ CORNERSTONES4」2007年CD(2024.04.18)
- Taxman (The Beatles, 1966)(2023.11.30)
- LILIUM: ラテン語によるアニソン/ LILIUM: The anime song written in Latin (2)(2023.11.28)
「大正」カテゴリの記事
- 書評:関 良基『江戸の憲法構想 日本近代史の〝イフ〟』作品社 2024年3月(2024.05.13)
- 菊池寛「私の日常道徳」大正十五年一月(1926年)(2022.06.26)
- Akutagawa Ryunosuke "Rashomon" Taisho 4 years (1915)(2022.06.12)
- For what purpose does our country go to war?, by Akiko Yosano, 1918(2022.05.19)
- 「戦後進歩史観」=「司馬史観」の起源について(2020.09.21)
コメント