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2018年8月18日 (土)

米国人は materialist か?/ Are the Americans materialists?

 もし、大日本帝国陸海軍が愚かであったとしたら、彼らが敵国(北米合衆国)の哲学を徹底研究しようとしていなかったことかも知れません。

 21世紀の現代日本人は、昭和日本人を精神主義者のように見なしていますが、帝国陸海軍が敵の哲学を研究しようとした形跡がないことを考えると、本人たちが思っている以上に、存外、観念的「唯物論者」だったのでしょう。なぜなら、敵の物的パワーであればしっかり研究、認識していた訳ですから。

経済学者たちの日米開戦:秋丸機関「幻の報告書」の謎を解く (新潮選書)

 唯物論者米国人は、敵の哲学までも知ろうとし、精神主義者昭和日本人は、敵のマテリアルな力を研究して満足している。この違いは如何に?

      以下、弊ブログの過去記事より。   

思想とは空気である(2)
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R.ベネディクトのと刀』 (講談社学術文庫)
の元になった研究(第二次大戦中)のスポンサーが、米国政府(United States Office of War Information)であることに釈然としないものをずっと感じていたが、下記を読み諒解した。

But there are some people, nevertheless—and I am one of them—who think that the most practical and important thing about a man is still his view of the universe. We think that for a landlady considering a lodger, it is important to know his income, but still more important to know his philosophy. We think that for a general about to fight an enemy, it is important to know the enemy's numbers, but still more important to know the enemy's philosophy. We think the question is not whether the theory of the cosmos affects matters, but whether in the long run, anything else affects them.
I. Introductory Remarks on the Importance of Orthodoxy, HERETICS(1905) by Gilbert K. Chesterton

およそ一個の人間に関してもっとも実際的で重大なことは、なんといってもその人の抱いている宇宙観である、という考えをもっているのが世間にはいく人かいるが、私もその一人である。われわれの考えるところでは下宿屋の女将が下宿人の品定めをする場合、下宿人の収入を知ることは重要なことではあるが、それにもまして重要なのは、彼の哲学を知ることである。まさに敵と矛を交えようとする将軍にとって、敵の勢力を知ることは重要ではあるが、しかし敵の哲学を知ることの方がよりいっそう重大なことであるとわれわれは考える。おもうに問題は、宇宙に関する理論がものごとに影響を与えるか否かということではなくて、つづまるところをそれ以外にものごとに影響を及ぼすようなものが果たして存在するかどうかということなのである。
W.ジェイムズ『プラグマティズム
』岩波文庫(1957)、P.9より孫引き、傍線引用者

〔参照〕思想とは空気である

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