自動車は、ガソリンのパワーの60%を大気中へ捨てている (2019年6月)
今月、興味深い産業ニュースが流れました。
ホンダが世界最高水準のエンジン効率47%、20年代目標 | 日経 xTECH(クロステック)
この記事中で、
ホンダは2018年に発売した「アコードハイブリッド」の2.0Lガソリン機で、最高熱効率40.6%を達成した。将来に向けては最高熱効率45%、比出力80kW/Lの両立を目標に開発を進めている。
という記述があります。すると、いま道路上を走っているガソリン車で、最高熱効率が40.6%ということですから、他の車はそれ以下の熱効率で走っている訳です。路上を最新のモデルだけが走っていることなどあり得ません。したがいまして、現代社会で使用中の自動車は、概ね、ガソリンを燃やした熱量の60%以上を外気中に捨てていることになります。
これは温暖化ガスのCO2が云々という暢気な話題ではありません。もし地球温暖化が事実ならば、その主犯は、石油を燃料とする内燃機関動力である、ということさえ疑われるレベルの話です。なにしろ、1L(1000cc)のガソリンを燃やすと、そのうちの600cc相当分の熱量を、大気中に垂れ流しながら走っているのが自動車なのです。
何故そんな無駄な行為が経済的に成り立つのか、と言えば、原油が cheap 過ぎたからです。
内燃機関動力の技術は19世紀末に確立し、人類の生活を飛躍的に rich にしたと思います。昔なら王侯貴族や上層臣民しか所有できなかったのが天蓋付き馬車です。ところが、その数百倍のパワーを持つ自動車を一介の労働者クラスにまで、内燃機関動力は持てるようにしました。T型フォードが出回るのは1908年。20世紀のピラミッドともいうべき、地上数百mという世界一の超高層ビルを目指す建築競争がNY市で勃発したのは、米国の Roaring Twenties です。また代表的な軍事ハイテクである飛行機が旅客機へ転用され始めたのも同じく戦間期でした。それらを可能としたのは、湯水のようにがぶ飲みできる、easy & cheap な oil を燃料とする内燃機関動力があったからです。なにしろオイルショック(1973年)以前の原油価格は、1バレルあたり2~3ドルでした。
After Peak Oil の21世紀の現在、それは一夜の儚い夢であったことが明確になっています。いま私たちに求められているのは、After Peak Oilの世界に生きざるを得ない子どもたちのために、私たちの「宴の後始末」を済ませて、安らかに棺桶に入ることです。
さしずめ、最優先事は、cheap oil でつっかえ棒をしてきた核利用の後始末、原子力発電所の出す核廃棄物の処理が問題です。
※参照
原発、トイレのないマンション( Nuclear power generation is a condominium without a toilet.): 本に溺れたい
理由は2つあります。まず、この核ゴミの処理を原発が産出する電力だけで実施するのは不可能です。高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を、専用のステンレス製直径40cm、高さ130cm、総重量500kgの容器を製作したうえで、封入し、既に国内でストックしている、JR山手線一周分の放射性廃棄物を日本から地球の裏側のフィンランドの岩塩坑まで運ぶエネルギーを原発が産出する電力だけで賄うことは当方もなく難しいと思われます。第2に、そもそも、直接、あるいは間接的に投入されている石油から生成される、資源と動力で原子力発電所(一基)は建設されますが、原子力発電所(一基分)から創出される電力だけでは、もう一つの原子力発電所(一基分)を建設することは原理的に不可能だからです。
現生人類の、子孫たちへの責任が問われています。
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