江戸モラリズムへの死刑宣告者
福澤諭吉の業務上横領罪については既に指摘しました。下記。
上記に加えて、丸山真男等、福澤を神輿に担いで回る政治思想史研究者とは対極の福澤評も記録しておきましょう。下記。
道徳主義のみの観点から江戸文化を見るのも誤りであろうが、それはなお経済原理のみで江戸の文化を割り切るよりは、誤りは少なくてすむようにも思う。江戸が江戸であるかぎり、道徳は常に経済よりは何がしかは優先して考えられていたはずだからである。それが江戸人の常識というものであった。その常識を根底から払い去ったもの、すなわち江戸の息の根をとめたもの、それが福澤諭吉であったように、私には思えるのである。
中野三敏『十八世紀の江戸文芸―雅と俗の成熟―』1999年岩波書店、p.65
江戸人(徳川人)の最終的なモラル破壊者は二つあります。上述の福澤を始めとした新しいタイプの「賢い人々」の登場と、長州薩摩軍事革命評議会権力による《文化大革命》、すなわち「神仏分離/廃仏毀釈」運動、この二つです。
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