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2021年6月27日 (日)

After oil を予想すると・・・

 中学校教科書は今年度大きく改訂されました。その一世代前の、中学校2年生用の光村図書の国語教科書に、環境考古学者の安田喜憲氏の書き下ろしで、「モアイは語る―地球の未来」という、なかなかじわっと効いてくる好エッセイがあります。

 南太平洋に浮かぶ、イースター島に遺されているモアイ像。最大で高さ20m、重さ80トン(JR中央線通勤快速車両2.5台分)もあります。こんなものが、種子島の半分のサイズのイースター島には約1000体も発見されています。この文明の消滅を追跡して解き明かしたのが、安田氏を含む国際研究チームでした。

 安田氏は自然地理学者でもありますので、このエッセイの最後で、地球の農耕地は最大で21億ヘクタール、その人口支持力は80億人がぎりぎり、と書いています。一方、1950年の世界人口推計は、25億人です。1950年とは、世界中が石油文明化する直前とみなして良いでしょう。日本では昭和25年ですから、小津安二郎「東京物語」(1953年)で描かれた、戦前でもなく、高度成長期でもない頃の Before oil といった時代です。

 としますと、石油のジャブジャブ漬けになる前の人口が25億人で、2019年の世界人口推計値は77億人です。そろそろ石油文明の最大人口の80億人に漸近しつつあります。つまり、

80億人―25億人=55億人

が、石油という「つっかい棒」が雲散霧消すると、餓死する可能性がある人口となります。この数字には、一瞬、現実感を失いかねませんが、この数字から眼を離してはいけないと愚考します。

※参照 Peak oil 後の世界: 本に溺れたい

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