« Neo-Confucianism (Cheng-Zhu) living in Soseki/ 漱石に息づく《朱子学》 | トップページ | 日中の文化資源における女性比率の差異/中日文化资源中女性比例的差异/Differences in the Ratio of Women in Cultural Resources between Japan and China »

2025年2月25日 (火)

英語の三単現(三人称単数現在)の謎を解く

ChatGPTに以下の質問をしました。

「英語は、三人称、単数、現在時制では、一般動詞に、s あるいは esをつける語形の変化があります。日本語話者からすると、なぜ、一人称現在(単数/複数)、二人称現在(単数/複数)、三人称現在(複数)では、一般動詞の語尾変化が無いのに、三人称単数のみ、一般動詞の語形変化があるのか、不思議でなりません。その理由を、英語学だけでなく、認知心理学と英語史の観点も含めて、説明してください。」


ChatGPTからの回答(20250225)

英語の三人称単数現在形にのみ -s / -es が付く理由は、英語史・認知心理学・英語学の3つの観点から説明できます。


1. 英語史的観点: なぜ三人称単数現在に変化が残ったのか?

現代英語のこの規則は、英語がかつて持っていた動詞の活用の名残です。

① 古英語 (5世紀~11世紀) の活用はもっと複雑だった

古英語(Old English)では、動詞は 主語の人称・数に応じて異なる語尾を取っていました。たとえば、動詞 lufian(愛する)の「愛する(現在形)」の活用は次のようになります:

人称・数 活用形
一人称単数 ic lufie
二人称単数 þu lufast
三人称単数 he/hit/heo lufað
複数(全員称) we/ge/hie lufiað

このように、古英語では三人称単数形だけでなく、二人称単数にも語尾変化がありました。また、複数形はすべて共通の活用形を持っていました。

② 中英語 (11世紀~15世紀) での簡略化

11世紀のノルマン征服(1066年)以降、フランス語やスカンディナビア語の影響で、英語の活用は簡略化され始めました。

  • 二人称単数(thou)の使用が衰退 → -st などの語尾変化が消失
  • 一人称単数(I)や複数(we, you, they)も活用が単純化 → 語尾の変化がなくなる
  • しかし、三人称単数(he, she, it)だけは語尾変化が生き残った

この結果、現在の「三人称単数のみ語尾変化」が確立されました。
特に -s の語尾は、北部イングランドの方言(スカンディナビア語の影響)から発展した形です。


2. 認知心理学的観点: なぜ三人称単数だけ目立つのか?

① 三人称単数は「最も識別が必要」な主語だから

  • 一人称 (I, we) → 話し手自身なので誤解が生じにくい
  • 二人称 (you) → 聞き手に直接話すため、特定しやすい
  • 三人称 (he, she, it, they) → 会話の外部にいるため、誰のことを指しているか曖昧になりやすい

特に 三人称単数 は、話し手(I)や聞き手(you)ではない「誰か1人」を指すため、他の主語よりも識別の手がかりが必要 だったと考えられます。そのため、「三人称単数のときだけ語尾を変える」ルールが残ったのではないか、という仮説が考えられます。

② 処理の負担を減らすための最小限の変化

英語の話者は、できるだけ シンプルな文法規則 を求めます。ただし、完全に語尾変化を消してしまうと、文の構造が分かりにくくなる可能性があるため、最小限の変化(-s)を残した とも考えられます。


3. 英語学的観点: 現在の英語のシステムの中での役割

英語は、動詞の変化が非常に少ない 孤立的(analytic)言語 へと進化しました。しかし、三人称単数の -s は、いくつかの理由で保持されています。

① 統語的な役割

  • He runs / They run のように、「三人称単数であること」を示すシグナルとして働く。
  • 文の解析を助け、主語と動詞の一致を示す重要な役割 を果たす。

② 歴史的要因による慣習

  • 多くの言語変化が簡略化の方向に進む中で、英語の三人称単数の -s は「ちょうどよいシンプルさ」で生き残った。
  • 英語学習者には煩わしいが、英語の話者にとっては自然な文法 になっている。

結論: 3つの観点を統合すると?

  • 英語史的 には、かつてはもっと複雑な活用があり、その名残として三人称単数だけに変化が残った。
  • 認知心理学的 には、三人称単数は話の外部の人物を指し、特に識別が必要だったため、語尾変化が保持された可能性がある。
  • 英語学的 には、英語のシンプルな文法の中でも、三人称単数の -s は統語的な役割を果たし、話し手にとって自然な形になっている。

このように、歴史・認知・文法の3つの要素が組み合わさって「三人称単数だけ -s をつける」というルールが残った と考えられます。

|

« Neo-Confucianism (Cheng-Zhu) living in Soseki/ 漱石に息づく《朱子学》 | トップページ | 日中の文化資源における女性比率の差異/中日文化资源中女性比例的差异/Differences in the Ratio of Women in Cultural Resources between Japan and China »

文学(literature)」カテゴリの記事

文化史 (cultural history)」カテゴリの記事

言葉/言語 (words / languages)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Neo-Confucianism (Cheng-Zhu) living in Soseki/ 漱石に息づく《朱子学》 | トップページ | 日中の文化資源における女性比率の差異/中日文化资源中女性比例的差异/Differences in the Ratio of Women in Cultural Resources between Japan and China »