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2025年10月 4日 (土)

コミュニケーションの不完全性とそのエラー修復としての知識進化

ChatGPTに質問しました。下記は、私の問いとそれに対するChatGPTの回答です。

 

Question (2025.10.03)

以下、質問です。現代の脳科学、認知科学、情報科学、進化生物学の見地から回答してください。

人間の大脳にストックされている情報は、大脳が立体なので、当然、三次元、あるいはそれ以上の高次元で格納されていると推定されます。しかし、それを他者に伝達する場合、音声による場合でも、文字に拠る場合でも、基本的には、線型あるいは sequential な音・記号の列でしか伝達できません。これでは圧倒的に情報の次元低下は免れません。画像(or 動画)データによる伝達はありますが、その場合でも、解釈の任意性を回避するには、何らかの文字列による補助情報が必要となるでしょう。同じ1次元の文字列でも、散文ではなく韻文ならば、「押韻」や「言葉遊び」という技法によって sequential な文字列にそれ以上の情報を乗せることはできるでしょうが、問題の大きさから言えば、根本的解決には到底なりません。

そう考えると、人間から人間への情報あるいは知識の伝達(communication)は、必然的に常に不十分であるという結論に達します。しかしながら、人類は現在、人類の立場から言えば、生物として種の頂点にあると評価可能です。この矛盾、齟齬は、どのように解釈可能ですか。

 

ChatGPT's Answer (2025.10.03)

大変重要で根本的な問いですね。ご指摘のように「多次元的に格納されている脳内情報」→「一次元的に伝達される音声や文字列」という落差は、人間の知識伝達の本質的制約です。この制約と、人類がそれにもかかわらず「種の頂点」と評されるほどの成功を収めた事実をどう解釈できるか、現代の脳科学・認知科学・情報科学・進化生物学の観点から整理してみます。

1. 脳内表象の次元性

  • 神経活動は高次元的
    神経科学的には、記憶や概念は単一ニューロンに格納されているのではなく、分散表象(distributed representation)として、多数のニューロン集団の活動パターンに埋め込まれています。これは数学的には高次元ベクトル空間上のパターンに近いものです。

  • 脳内の圧縮と抽象化
    ただし、そのままの「高次元データ」を他者に伝達する必要はなく、脳はすでに内部で情報圧縮(特徴抽出、カテゴリー化、概念化)を行っています。したがって、伝達されるときには、そもそも脳内で「低次元表現」に還元されている部分も多いのです。

2. 言語と一次元系列の制約

  • 線型系列の必然性
    音声や文字は、時間的に順序をもつ一次元のシグナルです。これは生物学的にも進化的にも、最小コストで確実に伝達できる方式であり、冗長性(言い換え、文法、比喩)によってエラーを補正する仕組みを備えています。

  • 詩的言語・比喩の多層性
    ご指摘の韻文や言葉遊びは、一次元列に多次元的な意味層(感覚・感情・連想ネットワーク)を乗せる工夫であり、人類が「線型の制約」を突破するために発達させた文化的技法の一つと解釈できます。

3. 不完全な伝達と「協調的復元」

  • 受け手の脳での再構築
    認知科学では「伝達は完全コピーではなく、受け手の脳での推論的復元」と理解されています。つまり、話し手は低次元の信号を送るにすぎないが、受け手は自分の経験・知識ネットワークを使って、それを高次元的に再構築します。

  • 推測・暗黙知の共有
    ポラニーの「暗黙知 (tacit knowledge)」が示すように、言語化されない前提や文脈が重要です。文化や身体性の共有が、情報欠損を補う大きな役割を果たします。

4. 進化的視点からの解釈

  • 不完全性の利点
    情報が「完全に」伝達されないことは、一見欠陥ですが、進化的には柔軟性と創造性を生みます。誤解や再解釈が、新しいアイデア・文化・技術の創発をもたらすからです。

  • 協調と社会性
    人類が頂点に立ったのは「完璧な伝達能力」ではなく、「不完全な伝達を補う社会的仕組み」を発展させたためです。教育制度、記録媒体、科学的方法、インターネットといった文化的補助輪が、不完全性を大幅に緩和しました。

5. 情報科学的観点

  • 次元削減と効率
    機械学習でも、高次元データをそのまま扱うのではなく、主成分分析やニューラルネットによる潜在空間表現に圧縮して扱います。言語は人類の「次元削減アルゴリズム」と見なせます。

  • 「十分性」vs.「完全性」
    人間は完全伝達を必要とせず、種の生存に「十分」な精度で伝達できればよい。完全性ではなく冗長性・共有基盤によって機能しているわけです。

まとめ ― 矛盾の解釈

  • 人間の知識伝達は必然的に不完全(低次元化)である。

  • しかしこの不完全さは「誤解を通じた創造性」「推測による再構築」「文化的補助装置の発達」を促し、むしろ人類の適応優位をもたらした。

  • したがって、矛盾は表面的であり、本質的には「不完全性こそが進化的資源」と解釈できます。


👉 ご質問に対応してまとめると:
人類は完全な情報伝達の種ではなく、不完全な伝達を前提に、誤解・解釈・補完を社会的に制度化して活用する種である。その「不十分さ」が、逆説的に人類を頂点に導いた。

◆Diagram
(マウスポインタを画像に重ねると詳細な別画像が出ます)

Human Information Transmission:
High-dimensional → Linear → Reconstruction

Output_20251003151001

※本記事の元ネタは下記です。
脳内の像の言葉を通じた次元低下とその復元/Reducing dimension of the image in the brain by words and its restoring: 本に溺れたい(2018.06.24)

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