渡辺浩 (Watanabe, Hiroshi)

2021年2月27日 (土)

「百姓」は農民(peasant / farmer)ではない/ "Hyakusho" is not a peasant or a farmer

 以下の、
故網野善彦の指摘も、日本史における「概念史Begriffsgeschichte」の作業と言っていいでしょう。

網野善彦『歴史を考えるヒント』2001年新潮文庫、より

 

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2018年3月16日 (金)

本居宣長と両墓制

 宣長には、二つお墓があります。先祖伝来の菩提寺、浄土宗樹敬寺に一つ。もう一つは、宣長を実際に土葬した、松坂郊外の山室山の頂上(一応、浄土宗妙楽寺の寺域内)の「本居宣長之奥津紀」です。前者は、世間一般の法事等のためのもの。後者は、いわば「本居宣長」という大学者のファン用のもの、です。

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2016年6月16日 (木)

日本史学における概念史の嚆矢

 ドイツ国制史で鍛えられてきた概念史 Begriffsgeschichte 。それに類することは、自覚的でないならばこれまでにも幾つかある。例えば、網野善彦が「百姓」は peasants ではなく、common people の意味だ、と発言しだしたのはおそらく1980年代後半からだと思う。

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2014年5月 1日 (木)

ちょっとしたお願い

弊ブログ記事に仏語の書評誌からリンクがついていたようです。下記。

Comment j’ai traduit "Albucius" de Pascal Quignard en japonais | La Re'publique Des Livres par Pierre AssoulineLa Re'publique Des Livres par Pierre Assouline

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2013年4月10日 (水)

日本史における概念史アプローチ

 歴史学上の概念の形成を史的に再検討し跡付けしたうえで、その概念の使用がアカデミズムにおいて持たざるを得ない一種の《政治性》を明示する学知的作業。これが概念史だとすれば、それを日本史学において陽表的に実行しているのは下記だろう。

 弊ブログでも何度となくお世話になっている。改めて、典拠と弊ブログ記事の対応を示しておこう。

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2010年10月11日 (月)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(番外編)

(10)より

■最良の書評
 田中優子氏(江戸文化研究者)の、本書に関する書評をネット上で見つけた。管見の限りで最良のものと感じたのでご紹介する次第。

今週の本棚:田中優子・評 『日本政治思想史--十七~十九世紀』=渡辺浩・著 - 毎日jp(毎日新聞)

 私も、渡辺氏や田中氏の言われるように、徳川政治思想の生んだ最良の遺産は、横井小楠だと思う。

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2010年5月 6日 (木)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(10・結)

(9)より

◎なぜ、徳川体制は崩壊したのか?(第十五、十七、十八、十九章)

■「江戸人」は「日本人」である
 徳川日本には「日本」国は存在しなかった。この言説を著者は「全くの誤謬」(本書p.301)と切り捨てる。すなわち、徳川期、この列島を全体としてカバーする観念として「日本」国はあったし、そういった統合性の客観的な条件も、政治・経済・文化の各方面において存在した*。したがって、「日本人」という自意識もあった(本書p.304)。

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2010年5月 4日 (火)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(9)

(8)より

第十六章 「性」の不思議

■イエ統治と sexuality

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2010年5月 2日 (日)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(8)

(7)より

■契沖

 契沖が、いま我々が高校の古文テキストで見る「歴史的仮名遣い」を定礎した(『和字正濫鈔』1695)人物であることは、本書で知った(pp.250-1)。契沖のテキスト研究法は、研究資料の広範な収集とその相互比較である。こういう組織的な研究法をどのようにして契沖は身に付けたのだろうか。本居宣長には先行者として、徂徠・契沖・賀茂真淵がいる。賀茂真淵には荷田春満・契沖・徂徠がいた。それなら契沖は?

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2010年5月 1日 (土)

渡辺浩『日本政治思想史 ― 十七~十九世紀』東京大学出版会(2010年)(7)

(6)より

■徂徠学ヘゲモニーの歴史的帰結

 「既に我々はみなポストケインジアンたらざるを得ないのだ」と記したのは、Paul Sweezy だったか、Maurice Dobb だったのか。このところ経済学の文献にはとんとご無沙汰しているので、もはや記憶が定かではない。この伝でいけば、徳川日本の18世紀に呼吸した知識人たちにとり、「すでに誰もがポスト徂徠学派たらざるを得ない」事態が出現していた。それも全国的に。その覇権ぶりは、前出の中野三敏氏の著書や小島康敬氏の論文を見ても一端が伺える。中野氏の見取り図に従えば、それまで学芸の中心であった京から、関東にそれが移った。すわなち、列島史上初めて、学芸のヘゲモニーが箱根を越えたことになる。これが帰結の第一。

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