大友克洋『童夢』1983年/ Otomo Katsuhiro, Domu: A Child's Dream, 1983
大友克洋『童夢』1983年双葉社。1983年、第4回日本SF大賞受賞、1984年、第15回星雲賞コミック部門受賞
「AKIRA」と並ぶ大友克洋の代表作です。私が今でも時折、読み返す版は、1983年12月第2刷ですから、今から40年前くらいに買ったものですね。
高島平団地を彷彿させるマンモス団地に変死・自殺事件が数年にわたり継続して起きています。そこに女の子が引っ越してきます。
事件を起こしていたのは、軽い認知症の老人。この幼児退行したような老人が超能力者で、新しく引っ越してきた少女も超能力の持ち主だったため、すぐに老人の能力行使に気づき、それを止めさせます。
しかし、それを逆恨みした子どものような老人が罠を少女に仕掛け、ある夜、凄惨な闘争とガス爆発事故が勃発します。
そしてラスト。団地の真昼間、衆人環視の場所で最終対決が始まり、大人は誰も気づきませんが、広場で遊んでいる子は遊びの手を止め、異変に気づいた部屋にいる子たちもベランダから広場を見下ろす中、イノセントな認知症の老人は広場のベンチで静かに息絶えます。
このとき団地の広場で、印象的な親子の会話があります。
「ママァ、ブランコの柱が折れちゃったよーッ」
「そんなもの折っちゃ駄目ですよ」
日本の漫画の作画術を一変した、とまで言われている名作ですので、是非、マンガ喫茶等でお読みください。講談社から全集版も発売しています。
大友 克洋 著、童夢 (OTOMO THE COMPLETE WORKS 8) 講談社刊、2022/1/21
左 講談社版 右 双葉社版
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