Shiozawa, Yoshinori(塩沢由典)

2024年11月10日 (日)

「産業革命」の起源(2)/ The origins of the ‘Industrial Revolution’(2)

塩沢先生
コメントと興味深い記事のご紹介ありがとうございます。

見はるかすかぎり、風車が林立している農村、などというのは、壮観かつ何か心躍るものがありますね。

※参照 ´Fryslan boppe´. An in-depth inspirational analysis of work rewarded with the 2024 Riksbank prize in economic sciences. | Real-World Economics Review Blog

ご紹介の記事の著者のいうように、'to mechanize production processes' を「産業革命」の核心とするならば、この史実は「産業革命」と言うに値します。

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2024年10月14日 (月)

プログラム解明科学とSMT理論/Program-Elucidation Science and SMT Theory

プログラム解明科学とは、故吉田民人が提唱しているものです。従来の、物理学を第一モデルとする自然科学は、自然界に内在する「法則による秩序」を探求する「法則定立科学」であり、人間社会に内在する「規則による秩序」を探求する社会科学は、「プログラム解明科学」と呼ぼう、というアイデアです。

一方、SMT理論とは、
Yoshinori Shiozawa, Masashi Morioka, Kazuhisa Taniguchi
Microfoundations of Evolutionary Economics
Springer; 1st ed. (2019/7/10) , 364 pages, ISBN-10 : 4431552669

によって、全世界に向けて発表された、新古典派経済学を代替する、経済学の基礎理論です。

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2024年8月13日 (火)

塩沢由典『複雑さの帰結』1997年、の「解題集」

本書は、戦後日本の社会科学書のなかで、最も創造的、innovative な成果の一つです。その内容には、知識論(Knowledge theory)、人間行動論、習慣論(habit theory)も含まれ、人文学(主に理論哲学)にも影響を与えずにはおきません。従いまして私も本ブログにて幾度か論じているのですが、それにも関わらず出版社品切れとなっています。仕方が無いので、塩沢氏の他の著作のように文庫化されることを願いつつ、デジタルリソース化を弊ブログで試みることにしました。無論、著作権が存在しますから全文をデジタル化できません。

ただ、塩沢由典氏が単行本として論文集を編む際、収録論文の終りに大抵「解題」なる著者自身によるコメントが付されます。これは読者にとり、極めてありがたいものです。何故なら、執筆のいきさつ、執筆動機、論文集発行時現在での自己評価、補遺等を含むものだからです。この「解題」が丁度よい文量で各章に付随しています。これをデジタルリソース化してその全容を可能な限り多くの人々に知ってもらおうと計画しました。

いずれ、すべての各章「解題」を弊ブログに掲載する予定ですが、とりあえず、今回は、本書の中心論文である「複雑さの帰結」(1993年)の「解題」をupしてみることとします。

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2024年4月22日 (月)

愚かな勉強法と賢い勉強法/ Stupid, or Smart Study Methods

Quora、というQ&Aサイトでたまたま見かけたのが下記。

(25) 頭の悪い人間のする勉強方法は? - Quora

ある回答者は、以下のように返信しました。

「解ってから先に進むと言うのが一番下手な勉強法です。」
「解らなくても良いからどんどん先に進む。ただし進みっぱなしでは駄目です。時々戻ってこなくてはならない。そうすると、あの時解っていなかったことが、驚くほど簡単に解っていることに気がつく。螺旋状の輪を描きながら先に進んで行くのです。」

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2023年2月 8日 (水)

弊ブログ主のインタビュー記事、第2弾(2023年2月)

 弊ブログ主(renqingこと、上田悟司)のインタビュー記事が、前回 同様、『風餐UNPLUGGED』11号、に掲載されました。雑誌目次は本記事後半に掲載しました。 もしご関心をお持ちいただけるようなら、下記、編集部(連絡先メール・アドレス)までお問い合わせください。

問い合わせ先
風餐編集部(府川さん) logos380@qd5.so-net.ne.jp

※今回の弊インタビューのテーマは、複雑系経済学、です。


 追記しますと、本
誌中の、「OIL, WATER and ROCK Dominic Berry」は、西欧人による関曠野(英文)としては世界初(?)のものではないかと思います。ご関心を頂ければ幸甚。

※正誤表(2023/02/14)頁はすべて本誌。
p.45  〔誤〕塩沢由典プロフィール「中央大学商学部教授。現在に至る。」
        〔正〕塩沢由典プロフィール「中央大学商学部教授。2015年同退職。現在に至る。」
p.47  〔誤〕上田「この理論は塩沢さん、谷口和久、盛岡真史の三人が」
        〔正〕上田「この理論は塩沢さん、谷口和久、岡真史の三人が」

※塩沢由典氏のHP上(短信・雑感欄)で、お褒めの言葉を頂戴しました。ご参照頂ければ幸甚。
塩沢由典公式ホームぺージ(新しいPortal: 2021年11月から)

 

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2022年12月17日 (土)

価格を決定するものは、「需要」ではなく、「費用」である(2)/ What determines price is not "demand" but "cost" (2)

 前回 の補遺のようなものを書きます。

 前回触れた、塩沢由典の「最小価格定理」に関しては、以下の論文も啓発的で、この定理についての理解を深めてくれます。

1)塩沢由典「生産性、技術変化、実質賃金」『季刊 経済理論』vol.56,no.3, 2019年/10月

上記の論文は、下記、J-STAGEサイトからPDFファイルとしてDLできます。

https://doi.org/10.20667/peq.56.3_7

 SMTの理論的帰結を、かなり簡潔に具体的データを利用して説明したものです。とりわけ「最小価格定理」から実際の経済問題を分析するとどのようなことが言えるかを語っていて、この定理の重要性、切れ味がよくわかります。途中、ベクトルや行列の計算式がありますが、躊躇せず、最後まで読むことをお勧めします。

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2022年12月15日 (木)

What determines price is not "demand" but "cost"

 Relative prices are determined by cost, not demand, is the most important proposition of the Theory of Value, which has been handed down from the classical school to Sraffa. The neoclassical champion, K. J. Arrow, has elaborated on this argument in a negative context, which I will quote from three places.

Kenneth J. Arrow, Frank H. Hahn, General competitive analysis, (Advanced textbooks in economics, v. 12), North-Holland, 1st ed. 1971 5th pri. 1988

 

Evaluation of K. J. Arrow's "Non-Substitution Theorem"

Chapter 1 Historical Introduction, p.14
Samuelson [1951] and Georgescu-Roegen [1951] showed that with one primary factor it is still true that relative prices of produced goods are determined by the tehnology, independent of demand conditions. This is, in a certain sense, a suprising resuscitation of the classical theory in which prices are determined by supply conditions alone. Since competitive production always minimizes costs, it follows that the technique actually chosen for the production for any commodity is also independnt of demand conditions, though it will depend, in general, on technological conditions in other industries. For more extended discussion, see Section 2.11.

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価格を決定するものは、「需要」ではなく、「費用」である/ What determines price is not "demand" but "cost"

 相対価格は、需要ではなく、費用によって決まる、とは、古典派から Sraffaまで連綿として継承されている Theory of Value(相対価格理論)の最も重要な命題です。この議論を、新古典派のチャンピオンである、K. J. Arrow がネガティブな文脈で詳説していますので、3箇所から引用しておきます。

アロー, ハーン [著] ; 福岡正夫, 川又邦雄訳『一般均衡分析』岩波書店, 1976.3

 

K. J. Arrow の「非代替定理」に対する評価

岩波版p.14、第1章序説、第7節、Arrow筆
「サムエルソン[1951]とジョルジェスク=ロェージェン[1951]は、そのような事例でも本源要素がただ一つであれば、生産物の相対価格はやはり需要から独立に技術によって定まるということを証明した。これはある意味では、価格がもっぱら供給の条件のみから定まるという古典派理論の瞠目すべき復活である。競争下での生産の事態がつねに費用を最小化するので、どの財についても事実上採択される生産方法は、(一般に他産業の技術条件には依存するが)需要条件からは独立となるのである。一そう一般化された議論については、さらに第2章の第11節を参照されたい。」

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2022年11月29日 (火)

Microfoundations of Evolutionary Economics (Evolutionary Economics and Social Complexity Science, 15), 2019/7/10

Yoshinori Shiozawa, Masashi Morioka, Kazuhisa Taniguchi
Microfoundations of Evolutionary Economics
Springer; 1st ed. (2019/7/10)
364 pages
ISBN-10 : 4431552669

※ Below is an essay I submitted to Amazon Reviews.

===================================
"a great breakthrough--an achievement of paramount importance"

The following is a quote from the following book.
Marc Lavoie, Post Keyensian Economics 2nd Edition (2022), p. 191,Edward Elgar Pub, 2022/5/31

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2022年11月 7日 (月)

Feasibility of freedom/自由の実現可能性

 Students who were happy to work on such a particular assignment with such restrictions, and who gave excellent answers, were completely at a loss as to what to do once they were given the freedom to change the restrictions at their own discretion.
 Whatever we are, we operate under a variety of constraints. And not all restrictions are bad, but there are "just the right restrictions," and because of these restrictions, there is also the joy of letting the wings of human intellect flap freely.
Masahiko Sato, "Monthly Newspaper," Chuko Bunko, September 2009, "Tanoshii seiyaku" p.103

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