戦争 (war)

2024年12月 9日 (月)

『殺す理由 : なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか』/ REASONS to KILL: Why Americans Choose War?, 2010. by R. E. RUBENSTEIN

米国の国際関係論/紛争問題解決学の専門家、リチャード・E・ルーベンスタイン(Richard E. Rubinstein)の著書の一節を引きます。

*この著者は、ちくま学芸文庫『中世の覚醒:アリストテレス再発見から知の革命へ』 訳:小沢千恵子, 2018年, の方が読書人には知られているかも知れません。

『殺す理由:なぜアメリカ人は戦争を選ぶのか』2013年紀伊国屋書店、p.261
REASONS to KILL: Why Americans Choose War, 2010, Bloomsbury Press, p.167)

「アメリカは比類ない徳を有するという思いこみは、過去に行った数々の介入のよりどころとなっていた。それはまた、私たち(米国人のこと:引用者註)に自己欺瞞と度重なる非人道的抑圧という堕落への道に導いてきた。」
'The assumption of unique American virtue that has underpinned past interventions has also led us down the road of self-deception and replication of inhumane forms of oppression.'

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2024年11月28日 (木)

薔薇戦争と中世イングランドのメリトクラシー/The War of the Roses and the Meritocracy of Medieval England

Liah Greenfeld の議論で、反論にさらされることが多いのは、中世イングランドにおいて「nationalism」が誕生し、それが後に人類社会の「近代化」をもたらした、という点、就中、15Cイングランドに「ナショナリズム」が誕生した、という史実解釈でしょう。そこでの彼女の論点は端的にいって、「薔薇戦争 1455~1487」が結果的に中世イングランド貴族社会を一掃したため、その人材穴埋めとして下賤の輩(people)たちに、イングランド王から pick up される機会(垂直的流動性)が生まれた、ということになります。それを、従来の歴史学では、王権が貴族を排して中央集権化を図った、とするのですが、Greenfeld は、新貴族となった「赤い血の貴族(=元 people)」の《自己了解 für sich selbst verstehen》or 《世界解釈 Weltdeutung》として歴史的に生成された、people の認識枠組みが《nationalism》だと再定義した訳です。その妥当性をチェックする一環としてChatGPTに以下の質問をし、下記の回答を得ましたので供します。ご参考になれば幸甚です。素晴らしい出来だと私は評価します。

◆問
「薔薇戦争(Wars of the Roses, 1455-1487)が、中世イングランド社会において、meritocracy の誕生、あるいは定着に関して、肯定的な影響を与えたか、否か、評価してください。また、薔薇戦争(Wars of the Roses)が、中世イングランド社会において、meritocracy の定着に肯定的な影響を与えたとする論者を教えてください。」

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2024年6月 2日 (日)

対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案(昭和十六年十一月十五日/大本営政府連絡会議決定)/Japan's Plan to Promote the End of the War against the U.S., Britain, the Netherlands, and Chiang Kai-shek 〔November 15, 1941〕

以下は、大日本帝国が昭和16(1941)年12月8日の約1か月前に決定した開戦にあたっての基本的な国家戦略です。とりあえず、原文を新漢字・かな遣いで書き直して、全文掲載しておきます。

※原本PDF(国立公文書館) 24、対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案 昭和16年11月15日

大日本帝国およびその政軍の指導者たちが西欧世界に正面切って軍事的に挑戦しようとしたとき、何を考えて(or 考えずに)始めたか、の歴史的証拠の一つです。私たち21世紀に生きる日本人が自らと今後を考えるための資源となれば幸いです。

 

「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」 昭和十六年十一月十五日 大本営政府連絡会議決定

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2023年11月29日 (水)

イスラエルの戦争犯罪は続く・・・/ Israel’s war crimes will continue.

引用は、知人の9年前の記事です。昨日今日の事ではありません。

ね式(世界の読み方): ル・モンド記事翻訳:ガザのアル・シファ病院で「担ぎこまれる負傷者の2人に1人はすでに死んでいる」

こういう事態が、戦時国際法違反にならないなら、すべての非戦闘員殺害は無罪でしょう。はて、double standard はどちら?

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2022年9月30日 (金)

いじめ、紅衛兵、内務班

弊ブログ記事「日本の若者における自尊感情」に2点コメントをいだだきました。

1)https://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2022/09/post-abec1c.html
2)https://renqing.cocolog-nifty.com/bookjunkie/2022/09/post-588573.html

 その文言中の、「意図的にいじめ被害者を辱める」から、文革時代の紅衛兵「吊し上げ」を連想しまして、そういえば、旧帝国陸軍の内務班教育も、より程度のひどい「いじめ」ではなかったか、と気付きました。内務班については、小学館日本大百科全書と国史大辞典の項目記事を挙げておきます。

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2022年5月19日 (木)

For what purpose does our country go to war?, by Akiko Yosano, 1918

Yosano Akiko Hyoronshu, 1985, Iwanami Bunko, pp. 192-5, "Why did you go to war?", source: Yokohama Boeki Shimpo, March 17, 1918.

 ※This article is an English translation by DeepL of our blog article "与謝野晶子「何故の出兵か」(1918年): 本に溺れたい".

 I regret to say that I believe a certain degree of military preservation is unavoidable. Just as it is necessary to have police to maintain domestic order, it is necessary for a nation to have a certain degree of military force to defend itself against international peace and trade interests.

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2022年5月 2日 (月)

"Exoteric or Esoteric Buddhism" on the Principle of Self-Help

 In the early modern era (1618-1648), the "Thirty Years' War," also known as World War zero, burned the central part of the European continent to the ground, and finally the authority of the Holy Roman Emperor and the Pope fell to the ground. The "Treaty of Westphalia" system was established, under which the various "Sovereign States" of various sizes were lined up against each other. After this, there was no longer any (real legal) authority over the sovereign states. Consistently since then, until the present day, in the 21st century, the modern world has become an arena of power politics (the weak and the strong), where the great powers take the lead and join forces.

※cf. Collapse of Social Order and Salvation of the Individual: 本に溺れたい

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「自力救済の原理 the principle of self-help」を巡る顕教と密教

 初期近代(1618-1648)、ヨーロッパ大陸中央部をその業火で焼き払った第0次世界大戦とも呼ばれる「三十年戦争」がありました。その歴史的帰結として、ヨーロッパ大陸におきましては、神聖ローマ皇帝とローマ教皇の権威は地に堕ち、大小さまざまな「主権国家」が並び立つ「ウェストファリア条約」体制に移行しました。これ以降、西欧世界において、主権国家の上に立つ(実定法的)権威は消失し、21世紀の現代まで、近代世界は大国主導で合従連衡が行われる、権力政治(弱肉強食)のアリーナと化しています。

参照 社会秩序の崩壊と個人の救済: 本に溺れたい

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ジャック・ボー氏のインタビュー - The Postil Magazine(日本語訳)/ Our Interview with Jacques Baud – The Postil Magazine(Japanese)

The Postil Magazine に、弊ブログ記事(「ウクライナ危機の淵源 The Origins of the Ukraine Crisis」4月30日)で取り上げた論説の著者、ウクライナにNATOから派遣されていた元情報将校ジャック・ボー氏(Jacques Baud)の単独インタビューが掲載されました。彼をトレースする今後の予定はありませんが、その過去記事の流れもありますので、今回、再び、全文の日本語訳(DeepLによる)を弊ブログにupします。少し意外だったのは、ボー氏がジュネーブの大学院で計量経済学の修士号を取得していることです。無論、スイス軍の情報分析官に就任しているので、国際関係学と国際安全保障の大学院のディプロマも取得しているのですが。他にも、アフリカ・アジアでの国連平和維持活動も含めた個人的キャリアも語られている、わかりやすく、率直な、興味深いインタビューです。彼は、最後にこう締めくくっています。

At the end of the day, the advice I would give is a fundamental one of intelligence work:
Be curious!
「結局のところ、私がアドバイスしたいのは、インテリジェンス・ワークの基本的なことだ。
好奇心を持つことです。」

下記です。

Our Interview with Jacques Baud – The Postil Magazine

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2022年4月30日 (土)

ジャック・ボー(Jacques Baud)による、ウクライナ危機の淵源/ The Origins of the Ukraine Crisis ( by Jacques Baud )

下記は、ブログ主(renqing, こと上田悟司)が、
The Military Situation In The Ukraine – The Postil Magazine April 1, 2022 Jacques Baud
を勝手に日本語訳(DeepLによる)したものです。この「ウクライナ危機」の現場に立ち会った軍人による一つの証言として、日本人がこの問題を考える時の縁(よすが)になれば、と思い弊ブログに掲載します。著作権者から削除要請がくればそれに従います。

※下記の新記事も参照
ジャック・ボー氏のインタビュー - The Postil Magazine(日本語訳)/ Our Interview with Jacques Baud – The Postil Magazine(Japanese): 本に溺れたい(20220501付の氏へのインタビュー記事です)

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