幕末・明治維新

2024年9月23日 (月)

リア・グリーンフェルド『ナショナリズム入門』2023年11月慶應義塾大学出版会/訳:小坂恵理, 解説:張 彧暋〔書評③〕

今回から内容書評に入ろうと思い、そのための下準備として、原著者のオリジナル概念、「近代政治の二重らせん double-helix of modern politics」、「尊厳資本 dignity capital」などの箇所を再読しました。そこで、訳文に重大な瑕疵と判断されるものと見つけてしまいましたので、申し訳ありませんが、もう一回、その指摘をさせて頂きます。ことはイスラム過激派に関する記述なので、政治的な意図で、歪曲されて流用されないとも限りません。念のため、本ブログの書評の一部として残しておくことに致します。

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2024年5月13日 (月)

書評:関 良基『江戸の憲法構想 日本近代史の〝イフ〟』作品社 2024年3月

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関 良基『江戸の憲法構想 日本近代史の〝イフ〟』作品社 2024年3月

本書は、関 良基氏の手になる、「明治維新」を再考する三作目の著書です。
1)『赤松小三郎ともう一つの明治維新 ―テロに葬られた立憲主義の夢』2016年12月
2)『日本を開国させた男、松平忠固 ―近代日本の礎を築いた老中』2020年7月
これで、関 良基氏の「幕末維新」三部作(すべて作品社刊行)が世に問われたと言ってもよいでしょう。

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2023年6月11日 (日)

徳川思想史と「心」を巡る幾つかの備忘録(3)/Some Remarks on the History of Tokugawa Thought and the "mind"(kokoro「こころ」)

遍照飛龍 様、弊コメントへの応答をありがとうございます。

「朱子学的紀律化の「市井的普及版」が、通俗道徳であった」
「この朱子学的紀律化の猛毒が『自己責任論による社会の荒廃と修羅化』の大きな原因」

 上記の2点、重要なご指摘だと思います。この列島の19世紀は、百年間をかけた《朱子学的紀律化》の亢進だったのではないでしょうか。

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2021年5月18日 (火)

日本の教育システムの硬直性は「儒教」文化に起因するか?

 これは、日本の知的世界全般にある「誤解」あるいは「認識論的障害」ではないか、と思います。

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2021年3月14日 (日)

藤井哲博『咸臨丸航海長小野友五郎の生涯』1985年中公新書〔承前〕

 本書のamazonレビューを書きました。弊ブログの元記事の簡略版ですが、念のため、弊ブログの別記事として残しておくことに致します。

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2021年2月16日 (火)

幕末維新期における“文化大革命”/ The "Cultural Revolution" at the end of Tokugawa Japan

 以下は、

  安丸良夫『神々の明治維新 -神仏分離と廃仏毀釈- 』1979年岩波新書

への 書評記事〔2008年6月17日 (火)投稿〕を、若干改訂したものです。今さらに何故、新記事としたのかと申しますと、重要な事実を新たに付加したためです。以前の書評記事を既読の方も、お目汚しに笑覧頂ければ幸甚です。

 

 

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2020年10月18日 (日)

橋爪大三郎氏の書評『日本を開国させた男、松平忠固』(毎日新聞/今週の本棚)

 先に、弊ブログで書評記事を掲載しました、関 良基『日本を開国させた男、松平忠固: 近代日本の礎を築いた老中』作品社 2020年07月15日刊に、橋爪大三郎氏が書評を寄せられました。

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2020年10月 6日 (火)

幕末維新テロリズムの祖型としての徂徠学(2)/ Ogyu Sorai as the prototype of the Meiji Restoration terrorism

(1)から (3)

 「斬奸状」というものがあります。狂気にかられた暗殺者たちが、己の殺人行為の正当性を世間に主張するため、被害者がいかに「悪者」であるかを縷々書き記した文書です。これに関して、非常に面白い文献があります。下記です。

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2020年10月 2日 (金)

幕末維新テロリズムの祖型としての徂徠学(1)/ Ogyu Sorai as the prototype of the Meiji Restoration terrorism

(2)

 19世紀半ば、日本列島では、テロ、政治的暗殺が吹き荒れました。「暗殺の中から生まれた明治政府」(1)とはけだし名言です。

(1)『東アジアの弾圧・抑圧を考える ―19世紀から現代まで 日本・中国・台湾』春風社2019年12月、p.13「序」(岩下哲典氏筆)
また、同書所収、関良基「江戸末期の暗殺と明治の弾圧の言説分析ー「国体」「売国」「国賊」「大逆」」pp.129-164は、類編がない重要な論考です。是非ご参照ください。

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2020年9月 2日 (水)

関口すみ子『御一新とジェンダー』2005年東京大学出版会〔1〕

関口氏とウォルソール氏がそれぞれに「告発」していることは、近代社会こそが女性を抑圧する制度を作りだしていたにもかかわらず、それ以前の社会と比較すれば良いはずだという文明開化=進歩観に基づく「常識」によって、それを「隠蔽」してきたということであり、その「常識」が(おもに男性たちによって)現在にいたるまで踏襲されてきたということである。〔本記事後段の、澤井啓一氏書評より〕

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