「悲しみ」の悲しみ
藤原正彦は、言論家としては unco 以外の何者でもない。ただ、随筆様のものであれば、彼が優れた書き手であることは、この私でも認める。
さて、彼の秀逸な随筆なことである。題名を「得失の不公平」という。収められてるのは、下記の本らしい。らしいというのは、あるきっかけでたまたまこの文章を眼にしただけだからだ。ご関心をもたれた方は、図書館なりからでも借りて読まれたし。
「何かを得た時の喜びと、何かを失った時の悲しみは、まったく質が異なると思う。前者が比較的に短期間で断続的なものであるのに、後者は長期間で連続的なもののように見える。得たものはいつも身の回りにあるせいか、時日をおかず現実の一部となるのに、失ったものは二度と取り返しがつかないから、その空洞がいつまでも胸に迫るのだろう。喜びや幸せに比べ、悲しみや不幸の方が深く永続的、というのは人間の負う最大の不公平かと思う。」
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