社会契約論 (social contract)

2020年11月11日 (水)

民主制の統治能力(2)/ Ability to govern in democracy (2)

 知人より本記事(1)に応答がありました。

「米国は宗教的国家である、あるいは宗教が「つっかえ棒」だから、容易に社会秩序は崩壊しないはずだ(アーミッシュAmishを見よ)」というご意見です。

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2020年11月10日 (火)

民主制の統治能力(1)/ Ability to govern in democracy(1)

 バイデンが北米合衆国の大統領になるとしまして、それが日本全体にとって相対的に正負どちらの国益となるか、は今のところ、私に判断材料がないのが現状です。

※続編をご参照 民主制の統治能力(2)/ Ability to govern in democracy (2): 本に溺れたい

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2019年6月25日 (火)

自動車は、ガソリンのパワーの60%を大気中へ捨てている (2019年6月)

 今月、興味深い産業ニュースが流れました。

ホンダが世界最高水準のエンジン効率47%、20年代目標 | 日経 xTECH(クロステック)

 この記事中で、

ホンダは2018年に発売した「アコードハイブリッド」の2.0Lガソリン機で、最高熱効率40.6%を達成した。将来に向けては最高熱効率45%、比出力80kW/Lの両立を目標に開発を進めている。

という記述があります。すると、いま道路上を走っているガソリン車で、最高熱効率が40.6%ということですから、他の車はそれ以下の熱効率で走っている訳です。路上を最新のモデルだけが走っていることなどあり得ません。したがいまして、現代社会で使用中の自動車は、概ね、ガソリンを燃やした熱量の60%以上を外気中に捨てていることになります。

 これは温暖化ガスのCO2が云々という暢気な話題ではありません。もし地球温暖化が事実ならば、その主犯は、石油を燃料とする内燃機関動力である、ということさえ疑われるレベルの話です。なにしろ、1L(1000cc)のガソリンを燃やすと、そのうちの600cc相当分の熱量を、大気中に垂れ流しながら走っているのが自動車なのです。

 何故そんな無駄な行為が経済的に成り立つのか、と言えば、原油が cheap 過ぎたからです。

 内燃機関動力の技術は19世紀末に確立し、人類の生活を飛躍的に rich にしたと思います。昔なら王侯貴族や上層臣民しか所有できなかったのが天蓋付き馬車です。ところが、その数百倍のパワーを持つ自動車を一介の労働者クラスにまで、内燃機関動力は持てるようにしました。T型フォードが出回るのは1908年。20世紀のピラミッドともいうべき、地上数百mという世界一の超高層ビルを目指す建築競争がNY市で勃発したのは、米国の Roaring Twenties です。また代表的な軍事ハイテクである飛行機が旅客機へ転用され始めたのも同じく戦間期でした。それらを可能としたのは、湯水のようにがぶ飲みできる、easy & cheap な oil を燃料とする内燃機関動力があったからです。なにしろオイルショック(1973年)以前の原油価格は、1バレルあたり2~3ドルでした。

 After Peak Oil の21世紀の現在、それは一夜の儚い夢であったことが明確になっています。いま私たちに求められているのは、After Peak Oilの世界に生きざるを得ない子どもたちのために、私たちの「宴の後始末」を済ませて、安らかに棺桶に入ることです。

 さしずめ、最優先事は、cheap oil でつっかえ棒をしてきた核利用の後始末、原子力発電所の出す核廃棄物の処理が問題です。

※参照
原発、トイレのないマンション( Nuclear power generation is a condominium without a toilet.): 本に溺れたい

 理由は2つあります。まず、この核ゴミの処理を原発が産出する電力だけで実施するのは不可能です。高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を、専用のステンレス製直径40cm、高さ130cm、総重量500kgの容器を製作したうえで、封入し、既に国内でストックしている、JR山手線一周分の放射性廃棄物を日本から地球の裏側のフィンランドの岩塩坑まで運ぶエネルギーを原発が産出する電力だけで賄うことは当方もなく難しいと思われます。第2に、そもそも、直接、あるいは間接的に投入されている石油から生成される、資源と動力で原子力発電所(一基)は建設されますが、原子力発電所(一基分)から創出される電力だけでは、もう一つの原子力発電所(一基分)を建設することは原理的に不可能だからです。

現生人類の、子孫たちへの責任が問われています。

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2019年5月25日 (土)

神社、demos(凡夫たち)kratia(支配)のためのagora(広場)

 J.C.ヘボン、和英語林集成、1886(明治19)年、にこうあります。

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2015年10月27日 (火)

現実としての「一揆」と思想としての「社会契約」

 ふと、頭をよぎったことがある。政治思想史のテキスト類には、西欧初期近代の部に必ず、「社会契約」論の項があり、思想家の肖像画や代表的著作は図版で載る。

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2014年1月12日 (日)

いじめと社会契約

いじめに関して素晴らしい文章があったので、まずご紹介。

子供が純真で素朴であるというのは大人の思い込みに過ぎない。大人の目の届かない子供の世界は、一種の野生状態であり力と駆け引きがもの言う世界である。
・・・

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2011年1月20日 (木)

刀狩りはPKOである〔徳川史①〕

 戦国時代と呼び習わされる百年を超える内戦を経験した16世紀日本列島。この流血と飢餓にまみれた自然状態に終止符を打ったのが織豊政権であり、徳川氏のリヴァイアサン、すなわち「公儀」権力と、列島を覆う「一揆」という社会契約であった。

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2010年9月16日 (木)

徳川氏権力の基本性格

 約150年続いた列島史上最大の内戦、室町末期の戦国の世。この自力救済の時代を終息させたのが、織豊権力と徳川氏であった。

 実力(武力)による自力救済の抑圧・禁止。そして平和の回復。これこそが、これら近世権力の目標のアルファであり、オメガであった。それを最終的に達成したのが、徳川氏の権力というわけである。徳川氏は列島を覆う平和団体を作り出すことに成功した。それを私は「社会契約としての一揆」として解釈する。つまり被治者たちの同意が調達されていたと見るわけだ。

 その証拠に、武士たちの所有管理する以上の鉄砲が、村には「農具として」存在した*。それにも関わらず、村方騒動に鉄砲が動員された形跡は19世紀のある時期まではない。村方で暮らす人々においても、「平和団体」としての一揆契約を結んでいたと仮説しても不合理ではあるまい。250年以上、戦争ら
しきものがなかったという事実が人類史的にまれなのは、17世紀から19世紀の西欧が戦争で明け暮れていたことを思えば、一目瞭然だろう。少なくともこの一事において、同時代の西欧諸国家より、徳川権力のほうがよほどマシだった言えるのではないか。

 簡単に言えば、徳川氏は列島内の「平和団体の管理者」であって、統治者と厳密に言えるかどうかは、再検討の余地があるようにも感じている。

 こういう性格の権力が、それとは全く異なる考え・仕組みを有する西欧主権国家群と19世紀に邂逅したのである。徳川「公儀」政府が歴史から退場する運命にあるのは、その設立目的からして当然だろう。

 問題は、列島上にいかなるコモンウェルスを構築するのか、ということろにあった。史実としては、西南諸藩による「維新」によって新権力は作られた。これをいままで私は軍事力による「獲得によるコモン-ウェルス」だとばかり考えてきたが、少なくとも最初期の「政府」には、社会契約行為による「設立のコモン-ウェルス」の要素も濃かった、と考えたほうが自然なのではないかと今思い始めている。だからこそ、列島を二分するような内戦は回避された。

 二世紀半を超える「徳川の平和」を過小評価するのは、もういい加減やめたほうがよい。現代のグローバル・ヒストリー的見地からの再評価が必要だと思う。

*武井弘一『鉄砲を手放さなかった百姓たち 刀狩りから幕末まで』朝日新聞出版2010年朝日選書868

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2008年8月18日 (月)

社会契約モデルとしての「一揆」/ The "Ikki" as a Social Contract Model

 社会科学においては、その理論的ツールを、もっぱら西欧の知的伝統に負う。歴史的に育まれてきたさまざまな知的資源から、西欧人たちが、そのまま流用したり、再定義、再構成したりしてこの分野の議論を豊かにしてきた。「社会契約」などという概念はまさにそうだろう。

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2008年4月30日 (水)

無知のヴェール(veil of ignorance)

「・・、各当事者は、人間についての一般的な事実 - 世の中には、健康な者もいれば病弱な者もおり、裕福な者もいれば貧乏な者もいるというような事実 - は知っているものの、自分自身の属性 - 自分自身が健康か病弱か、裕福か貧乏か、有職者か無職者か、自分はどのような生き方を善いとするか - についての情報はまったく与えられていないのである。」
平野仁彦・亀本洋・服部高宏『法哲学』有斐閣(2002年)、第1章、p.15

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